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Republic Services――ごみ回収の値上げ力を、買収と設備代金の支払いまで追う

ごみ回収ルートと埋立地の強みを、5年財務、値上げと数量、調整後FCFの設備支払補正、買収・還元・環境負債から検証する。

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情報基準日:2026-10-30(公開日とは異なります)

Republic Services(リパブリック・サービシズ)は、米国を中心にごみを集め、運び、埋め立て、再資源化する会社だ。工場などの特殊な廃棄物処理も手掛ける。

強みは、回収ルートと処分施設を組み合わせ、毎日のサービスから現金を回収できること。ただし「増収」「調整後利益」「自由に使える現金」は同じではない。 最新決算では数量の弱さを価格や別事業が補った。一方、会社の調整後フリーキャッシュフローには、設備を受け取った時期と実際に代金を払った時期をそろえる補正が入る。買収と株主還元も含めた資金配分を見る必要がある。

情報基準日は2026年10月30日19時(日本時間)。最新確認資料は米国時間10月29日公表の2026年7〜9月期決算。連結・米国会計基準(US GAAP)、金額は断りのない限り百万米ドル、通期は暦年である。本稿は企業の稼ぐ仕組みを検証するレポートで、決算直後の株価反応や割安さを判定するものではない。

ごみを運ぶ距離と、処分先を持つことが利益に効く

同社の仕事は回収車だけで完結しない。中継拠点で荷物をまとめ、自社の処分場や再資源化拠点へ運べば、他社へ払う処分料と輸送の無駄を抑えられる。2025年には、回収した固形廃棄物の約67%を自社が所有・運営する埋立地で処分していた。これは米国市場のシェアではなく、自社の回収量を分母にした比率だ。2025年年次報告・PDF23頁

ここから導ける投資上の仮説は、全国で大きいだけでなく、各地域のルート密度と施設配置が重要だということ。離れた場所の小規模会社を買っても、既存ルートや処分場につながらなければ、同じ効率改善は得られない。地域で価格を上げやすいことと、どんな価格で買収しても回収できることは別である。

売上認識も現金回収とはずれる。回収サービスは提供期間に応じ、処分は受け入れ時などに売上を計上する。前払いは先に現金が入り、サービス提供までは繰延収益になる。したがって、売掛金だけでなく、前受け分と買掛金の動きも見る必要がある。2025年年次報告・PDF135〜136頁

5年間の成長は確認できるが、買収込みの数字である

下表の営業CFは営業活動による現金収支。設備支出はキャッシュフロー計算書の有形固定資産取得支出で、受領した設備の金額とは区別する。年次資料の表示精度に合わせ、百万ドル未満を四捨五入した。

12月期20212022202320242025
売上高11,29513,51114,96516,03216,591
営業利益2,0762,3922,7803,1963,302
営業CF2,7873,1903,6183,9364,296
設備取得の現金支出1,3161,4541,6311,8551,887

出典:2023年年次報告・PDF95、98頁の2021〜2022年と、2025年年次報告・PDF91、94頁の2023〜2025年。後者で過年度が整数表示されているため、細かな端数差を経済的な変化と解釈しない。

売上だけでなく営業利益と営業CFも拡大している。ただし買収で連結対象が増えるため、この表だけから既存地域の競争力が同じ速度で高まったとは言えない。長期の成長確認には年次表、足元の実力確認には既存事業の価格・数量、という使い分けが必要だ。

最新四半期では、値上げと数量を混ぜない

7〜9月期の売上は4,212→4,559、営業利益は836→921だった。一方、会社の売上増減分析では、実現価格の効果が+2.9%、数量が−0.6%、燃料回収料金が+1.8%、買収・売却純額が+1.3%。価格改定の指標であるcore priceの+5.3%を実現価格の+2.9%に足してはいけない。同じ価格効果を別の切り口から測っているからだ。10月29日決算・Revenue、損益計算書

燃料回収料金は、燃料費の上昇を取り戻す性格がある。これをそのまま利益率の改善と読むのも早い。増収の中身を見る際は、値上げ、数量、コスト転嫁、買収を分けるべきだ。

上期の会社説明では、建設・製造業向けの需要低下や自治体契約の喪失が数量を押し下げた。前年にあった災害復旧需要がなくなる影響もある。生活に必要なサービスだからといって、数量が景気から独立しているわけではない。2026年6月期10-Q・PDF32頁

また、最新四半期のGAAP EPSは1.76→1.93ドルだが、調整後EPSは1.90→1.94ドル。前年の労働争議関連負担などを除くと、増益の印象は変わる。調整後指標は比較を助ける一方、実際に発生した負担をなかったことにするものではない。10月29日決算・調整表

調整後FCFと、支払い後の現金を分ける

9カ月累計の営業CFは3,519、設備取得の現金支出は1,363。筆者が単純に引いた「営業CF−設備取得支出」は2,156となる。会社の調整後FCFは2,276で、120多い。

この差は、設備受領時期の補正104、設備売却収入9、税引後の再編支払加算7で説明できる。会社は当期に受け取った設備1,259を使って調整後FCFを算出する。設備を受け取った時期と、支払った時期のずれをならす方法であり、誤りという意味ではない。ただし、銀行口座から出ていった金額を知りたい場面では現金支出を使う。10月29日決算・CF計算書、Adjusted Free Cash Flow

同じ累計期間で、買収・投資の現金支出1,117、配当577、自己株式取得のCF支出856をさらに控除すると、2,156−1,117−577−856=−394となる。これは四つの用途を並べた筆者の資金配分チェックで、全現金収支ではない。資産売却、借入・返済、その他支出などは含まない。会社が説明する買戻し額とCF支出は、税や決済時期などで一致しないことがあるため、ここではCF計算書に統一した。

結論は資金危機ではなく、設備更新だけなら現金を生むが、買収と還元を同時に拡大すると資金調達も点検する必要があるということだ。9月末の貸借対照表上の有利子負債は14,055、現金同等物は92。拘束現金を自由に使える現金へ混ぜて相殺しない。10月29日決算・CF計算書、貸借対照表

営業CFの増加を追う際には、顧客からの回収が進んだのか、仕入先への支払いが後ろへ動いたのかも確かめたい。上期の買掛金増加について会社は支払時期を挙げている。支払いの後ずれは将来の支出を消さない。2026年6月期10-Q・PDF40頁

埋立地は参入障壁であり、将来の支出責任でもある

2026年6月末には稼働中の埋立地208カ所と、閉鎖後の責任を負う125カ所があった。埋立地の最終被覆・閉鎖・閉鎖後管理負債は2,369、環境修復負債は429だった。これらをすべて当年に払うわけではないが、使い終わった施設に支出が残る。2026年6月期10-Q・PDF14頁

資本効率を見る場合、現在の利益だけを取り出し、買収で支払ったのれんや将来の閉鎖責任を無視すると、事業を実際より軽い資産で運営しているように見えてしまう。会社ごとに調整の違うROICを横並びにするより、まず取得価格込みで増えた現金と、追加の環境支出を追う方が判断しやすい。本稿では同一定義をそろえられない競合ROICの順位付けは行わない。

WMとの比較は、同じ現金式で見る

2025年のWMは売上25,204、営業CF6,043、設備投資支出3,227。営業CFから設備投資支出を引いた値は2,816、売上比11.2%となる。同じ式でRSGは4,296−1,887=2,409、売上比14.5%だ。会社公表の「調整後FCF」同士をそのまま比べず、実際の現金支出にそろえた。WM・2025年通期決算の損益/CF計算書/RSG・2025年年次報告PDF91、94頁

ただし、これは投下資本利益率でも企業価値の優劣でもない。WMには医療廃棄物事業などがあり、設備更新と成長投資の配分も違う。WMはFCFに資産・事業売却収入を加える定義を使うため、会社公表値では見え方も変わる。RSGの比率が高いことだけで、将来の更新費用が低い、買収が巧い、株価が割安だとは言えない。

どの条件で見方を変えるか

強気の条件は、値上げを維持しながら失う契約や数量が減り、処分施設と回収ルートの組合せが良くなること。基準的には、値上げが数量減と費用増を補い、現金創出は続くが買収・還元に制約が残る。弱気の条件は、値上げで契約を失い、建設需要の低下、環境費用、借入費用の増加が重なることだ。いずれも筆者の条件整理であり、利益予想や発生確率ではない。

感応度を考える手掛かりとして、会社は6月末時点で変動金利債務18億ドルについて、金利が1ポイント動けば年間利息支払などが約1,800万ドル変わると説明していた。また当時の再生資源の数量・構成なら、単価が1トン10ドル動くと年間売上・営業利益に約1,300万ドルの影響があるとしている。いずれも6月時点の条件で、9月末の予測へそのまま置き換えない。2026年6月期10-Q・PDF32、35頁

次の決算では、実現価格と数量、設備受領額と現金支出の差、買収後の現金回収、環境費用の見積変更を優先する。新しい買戻し枠は50億ドル、対象は2027〜2029年であり、今すぐ全額を使う約束ではない。買戻しの大きさより、投資と借入を合わせた資金配分が持続するかが重要である。10月29日決算・買戻し方針

本稿では確認できていない市場予想との勝敗や当日PERを示していない。会社の強さと、現在の株価で十分な収益が見込めるかは別の問いである。売買を推奨するものではない。